髻中宝珠の八葉蓮華 {創価学会 仏壇}
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 「髻中宝珠の譬え(頂珠の譬え)」(安楽行品第十四) 創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge 創価仏壇
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何も求めず散歩に出かけるとその瞬間から時間はゆっくりと流れ始める・・・ 正平調 八葉蓮華
 散歩の情景を淡々と描く漫画があった。20年も前の連載を集めた谷口ジローさんの作品集「歩くひとPLUS」(光文社)が発行され、懐かしくて手に取った

 静謐(せいひつ)な物語の世界が立ち現れる。会社勤めらしい主人公は妻と犬と暮らす。折々に街や川べりを歩く。光と影、風と水を巧みに表し、道に映る木の影が美しい。大事件は起こらない。頭にサッカーボールが当たり眼鏡を踏み割ったり、酔っぱらって侵入したマンションの屋上で夜明けを迎えたり(これも散歩なのだ)

 各回8ページほどの全18話を続けて読むと、作者のもくろみが明らかになる。せりふを極力使わない。表情や背景の描写で、状況や感情を伝えようとする

 見知らぬ年配の男と歩く速さを、ついつい競ってしまう第9話は、せりふがなくなりスタスタといった擬音だけになる。炎天下、よしずを家に運ぶ第16話に至っては擬音さえ消える。でも、せみ時雨はやかましく、家に着いてビールを飲むと、のどが鳴る。はっきり聞こえる

 何も求めず散歩に出かけるとその瞬間から時間はゆっくりと流れ始める‐。作者は、あとがきにそう書いた。静かだから葉ずれが聞こえ、雲の流れに目を向ける。無駄を省き、豊かさを描いた

 携帯電話を持つ身に、この静けさは、もうないのかもしれない。それでも散歩がしたくなった。きょうはいつもの駅のひとつ手前で下車し、風薫る街を歩いてみようと思う。

 正平調 神戸新聞 2010年5月17日
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by hachiyorenge | 2010-05-17 23:56 | 正平調