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「団子と串・・・」 河北春秋 八葉蓮華
2008年 08月 02日
「団子と串・・・」 河北春秋 八葉蓮華
明治の末に文部省が文芸委員会なる組織をつくったことがある。有名作家や新聞社の主筆らが委員。手始めに、その年に出版された卓越した文芸作品を表彰することになった▼候補作には夏目漱石の『門』などが挙がった。けれども議論がまとまらない。結果は「該当作なし」。文部省からの博士号授与を拒否したこともある漱石、その報を聞いて「安心した」と語っている ▼次のような言葉も伝わる。「委員会などというものは、文部省という串(くし)で、委員という団子を突き刺すことをするのだ。串刺しにされた委員に何の活動ができるものか。団子委員にはなりたくないね」▼この挿話を著書で紹介している書誌学者の森銑三は「団子と串の譬喩(ひゆ)は、いかにも漱石らしくて警抜である」と評している。さて今に至るも役所が委嘱する委員なるもの、団子委員ならずや ▼厚労省がこのほど「厚労行政在り方懇談会」を設置した。委員は浅野史郎氏やテリー伊藤氏ら。厚労相は会見で「メスを入れれば省庁再編に広がる。すべて懇談会で検討したい」と大風呂敷を広げた▼内閣改造で厚労相に舛添さんが留任した。達者な口と行政手腕にいま一度、期待を寄せたい。ところで例の文芸委員会は3年で自然解消した。その轍(てつ)を踏むことなかれ、ゆめゆめ委員を団子にせぬよう。 河北春秋 8月2日 河北新報
by hachiyorenge
| 2008-08-02 01:01
| 河北春秋
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