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カテゴリ:日報抄
2010年 11月 01日
「スーパー堤防はスーパー無駄遣い」。政府の事業仕分けで、高規格堤防事業の廃止が決まった。200年に1度の洪水に備え、大都市の6河川に12兆円を投じる。すでに約7千億円使ったが、手をつけたのは48キロだけ。完成に400年もかかるとか
河川沿いの市街地を丸ごと底上げする再開発のようだ。「現実的な話だと本当にお考えか」と蓮舫行政刷新担当相。「優先順位は確かに低い」。国交省側は白旗だ。少し前まで当たり前と思っていた公共事業の不倒神話は、見る影もない スーパー堤防の中止で「粗朶(そだ)工法」を思い出した。ナラやコブシ、クリなどの広葉樹の枝や幼木を3メートル弱に束ねる。これを職人技で何百束も組み合わせ、堤防を強化したり、川床の洗掘を防いだりする自然型工法である 工事に使う粗朶は育って10年近い雑木が中心だ。広大な里山がその供給源になる。ちょうどいい木を間伐し、切り株から新芽が育つ。こんな伝統工法が本県に残っているのはうれしい。粗朶工法が広がれば、里山は活気づき新たな雇用も生まれよう。何より山も水辺も豊かな生物相が保たれる これこそ「コンクリートから人へ」の見本だろう。施工する加茂市と新発田市の業者に電話した。「受注額はここ数年で半分以下だよ」「スーパー堤防の予算が少しでも回れば、どれだけいい仕事ができるか」と2人の社長はこぼす 生物多様性条約の国際会議(COP10)で日本は里山の重要性を訴えたが、粗朶工法の紹介はない。「それがいまの現実だよ」。職人社長の言葉が重たい。 日報抄 新潟日報 2010年10月30日 創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge 2010年 08月 14日
週末、散歩がてら、秋の使者を探して、せみ時雨に耳を澄ませてみた。セミは種によって初鳴きの時期が異なり、ツクツクボウシは土用明けの立秋のころとされる。「秋告げゼミ」と呼ばれるゆえんだ
もう鳴き始めてもいいのに、この夏はうだるような暑さに、出番をためらっているのだろうか。汗をふきふき歩を進めたが、どこまで行っても、その声は聞こえなかった 異常な高温による農作物への影響が報じられている。不作、高値-。家計のやりくりを思うと、懐にはひんやりと秋風が吹く。そんな中、コメだけは豊作になりそうだ。先ごろ発表された本年産の作況指数予想は、2年ぶりに豊作の目安となる「102」となった 東北地方では、「土用十日後先(あとさき)照れば豊年」といわれるそうだ。気象エッセイストの倉嶋厚さんが「お天気だより」に書いている。「土用は1年に4回あるのに、夏の土用だけが暮らしの言葉として残っているのは、この時期の暑さとイネの成熟が深い関係にあったから」だという。厳しい残暑も豊作の吉兆と思えば、我慢できる とはいえ、コメ農家にとっては、豊作も手放しでは喜べないようだ。早くも、販売価格の下落が懸念されている。民主党政権の看板政策である戸別所得補償制度も真価を問われることになりそうだ ツクツクボウシの鳴き声を「ツクイッショウ(つく一升)」と聞きなし、それが多いほど豊作になると伝わる地方もあるという。農家の人たちは、どんな思いでせみ時雨を聞いていることだろう。 日報抄 新潟日報 2010年7月30日 創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge 2010年 08月 04日
「子を抱いて寝てゐ(い)る妻や喜(き)雨(う)休(やすみ)」。旧亀田町出身の俳人渡辺軍平の句だ。昼下がりの農家の光景が目に浮かぶ。炎天下の草取りなど、かつての亀田郷の田んぼ仕事は過酷だった
日照りが続けば、畑の水やりも心配になる。そこにやっとまとまった雨が降る。昔の農村では、干天の慈雨に恵まれると「喜雨休」と称して体を休めた。「雨祝い」もあった さて、この夏はどうか。ゲリラ豪雨の惨事が全国から伝わるが、本県は不気味なほどに静まり返っていた。28日、新潟市で久しぶりに雨が降った。昼間の気温は今年最高の34・2度を記録した。猛暑にあえぐ庭木にとっても「喜雨」のはずだ ところが、雨は夜9時前後の1時間に35ミリも一気に降り、稲妻が住民の肝も冷やして通り過ぎた。相変わらず「ほどほど」が通じない天気である。農家は「雨を喜ぶ」どころか、用水路や田畑の出水が心配になったことだろう サザンオールスターズの桑田佳祐さんが、食道がんだと分かり、治療に専念することになった。2年前に姉をがんで亡くし、体調に気を付けていたことから、初期段階でがんを見つけることができたようだ。わが青春や恋は、彼のハスキーボイスとともにあり。酔えば酔ったで、カラオケは「サザン」という中年は多い 「お楽しみは、あ・と・で」と、桑田さんは元気に再起を誓う。これまた人生の「喜雨」と受け入れ、ゆっくりと静養してほしい。桑田さんだけでなく、くれぐれも夏の体調管理は気配りが大切だ。「わが命大事に休む酷暑かな」(軍平)。 日報抄 新潟日報 2010年7月30日 創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge 2010年 07月 30日
「やっぱり音からして違うよな」。年代ものの野球帽をかぶった中年男性がそうつぶやいて、ビールをうまそうにあおった。郷土の球場でそんな感慨に浸れる幸せを思う。昨夜、新潟市で開かれたプロ野球オールスター戦で、一投一打に揺れる祭りムードを味わった
高校野球の金属バットの鋭い音もいい。でも、プロが使う木製バットの音には“すごみ”がある。目の前で次々と打席に入るのは、球界を代表するスラッガーたちだ テレビで聞く音とも微妙に違うのだ。高校生が「カッキーン」なら「ガンッ」に近い。球を「はじく」より「たたく」だ。12種のユニホームが球宴を彩り、ウエーブが起きた。ラッパや太鼓もにぎやかだ。その合間に空気を切り裂くような打球の迫力に酔う この県立野球場の誕生は、1980年の陳情から30年がかりだった。90年に建設方針が決まったが、サッカーW杯の開催決定で「ビッグスワン」に先を譲る。やっと着工かと思ったら、中越地震が発生、建設予定地は自衛隊の救援基地と化し、再び先送りされた 産みの苦しみを勝利の女神が見ていたのだろう。昨夏完成した球場で、甲子園切符を手にした日本文理は、いきなり全国準優勝の快挙だ。秋はトキめき国体で歓声が沸いた。社会人野球のバイタルネットは、県勢40年ぶりの都市対抗全国大会出場を決め、BCリーグで新潟が奮闘中だ サッカーに続き野球も、県民は「夢の揺りかご」を隣り合わせで持てた。あとはオールスター戦に県人が将来何人出てくれるか、楽しみに待つだけだ。 日報抄 新潟日報 2010年7月25日 創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge 2010年 07月 20日
梅雨前線による豪雨が西日本で猛威を振るったと思ったら、九州南部を除いて一気に「梅雨明け宣言」だ。お天道さまの気まぐれだけにはかなわない
この連休は真夏日が続き、海や川は涼を求める家族連れでにぎわった。昨年の梅雨明けは「特定せず」だったが、今年は待ってましたとばかりに、きょうの土用の入りだ。土用は立冬、立春、立夏、立秋の四季の節目前、18日間を指す。でも、多くの人は“うなぎを食べる”丑(うし)の日があるこの立秋前がなじみだろう 炎天下は熱中症に細心の注意がいる。一方、この強い日差しを利用した「土用干し」という真夏の知恵もある。「虫干し」とも言い、衣類や書画などを日なたに出したり、陰干ししたりして、カビや虫食いを防ぐ 高級な書画を干す光景はなかなかお目にかかれないが、梅干しの土用干しなら、街中の庭やベランダなどでよく見掛ける。シソと漬け込んだ藤五郎や越の梅が、いい塩梅(あんばい)に梅酢を出し、紅色に染まって“日光浴”を待っている この夏は梅を干す家庭が増えるかもしれない。先ごろ、和歌山県立医大の研究班が、新型インフルエンザの増殖を抑えるポリフェノールの一種を、梅干しから発見したという 「朝の梅干しは一日の難逃れ」。全国には抗菌効果に多くの言い伝えがある。研究班によれば「1日5粒程度でウイルスの抑制が期待できる」とか。かなり酸っぱそうな話だが、巨費を投じて輸入した大量のワクチンを捨てるような無駄よりはましか。ご飯と梅干しの“健康粗食”を見直すことは大歓迎だ。 日報抄 新潟日報 2010年7月20日 創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge 2010年 07月 10日
降りそうで降らない梅雨空を眺めながら、2年前に訪ねた台湾を思い出した。台湾は雨が多いが、山が険しいため、すぐ海に流れ出してしまう。水が貴重なのだ
南部の高雄に、沼地に水を引いて広げた半人造湖がある。工業用水や飲料水を供給しており、周辺の緑や花々が美しい。およそ半世紀前、蒋介石が「澄清湖」と命名した。湖畔に立つ「中興塔」に上り、権力の座にあった大陸へ思いをはせたという 中国と台湾が自由貿易を目指す協定に調印した。蒋介石が内戦に敗れ、台湾に渡った1949年の中台分断以来初の、歴史的な経済協定だ。2008年の国民党・馬英九政権誕生を機に、中台関係は融和へシフトしたかに映る 台湾を訪れたのは、総統選のさなかだった。台北で観光の仕事に携わる女性に会った。馬氏支持という。「馬氏が総統になれば、中国の観光客が増えるからですか」と理由を尋ねると、「いいえ、単純に馬さんが若くてハンサムだから」と答えた 浮ついた人気は長く続かない。昨夏の台風被害での対応が遅れたことなどで、馬氏は支持率急落に悩んだ。中国に近づき経済上の成果を上げれば、2年後の総統選につなげられるとの読みが働いているのかもしれない 馬氏は平和協定へ向けた中国との政治協議を進めることは否定した。ミサイル配備の問題がある。国内に「統一」への警戒感が強い。権力の座にある人物には、やじろべえのような微妙なバランス感覚が必要なのだろう。どこかの国みたいに発言がよくぶれるのは別次元の話だが。 日報抄 新潟日報 2010年7月10日 創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge 2010年 07月 05日
「雪ん中ようきてくんなったねえ」「玄関先ではなんだわ、上がっていきない」。柔らかな高田言葉が流れるCDを聴いた
「おまんた えますぐ使えるえっちょまえの上越弁」とちょっとなまったタイトルが付いている。上越市の有沢製作所相談役有沢栄一さんが企画・制作した。お正月や朝市、酒場から家族の日常まで、さまざまな場面を想定した会話に優しさとおかしみが漂う 方言が生活から消えつつあることに有沢さんは寂しさを覚えるという。「話す人がいなくなったら、独特の語調や抑揚は音で残さない限り再現することはできません」。そこでCD化を思い立った。要望があれば直江津言葉版の制作も考えたいというから頼もしい 各地の方言や風習を扱った人気のテレビ番組がある。お国言葉で売り上げを伸ばす山形新幹線のカリスマ販売員も有名だ。旅先などで方言が妙に心地よく響くのは、その土地の歴史や風土、人情が感じられるからだろう 上越弁のCDには日本国憲法前文の高田言葉訳も収録されている。語り掛けるのは有沢さん本人だ。「ねえ、おまんた。日本国民はさあ、ずーっと平和続かんもんかと、ふんとに思ってたんだわね」。穏やかな口調が心にすっと入る。ほんとにそうだよね、と参院選中盤にしみじみ思う 街角には選挙カーが行き交う。候補者はその土地の言葉で政策を語ってみたらどうだろう。方言は取り澄ましてはしゃべれない。各党の公約も「ねえ、おまんた」で始まれば、信用できるのかどうか、見極めやすくなるかもしれない。 日報抄 新潟日報 2010年7月5日 創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge 2010年 06月 25日
クレジット会社からの封書が最近よく届く。先ごろ「改正貸金業法」が施行されたためだ。「あなたの借金は年収の3分の1以内に制限されます」と教えてくれる。借金の総量規制は、多重債務などで自サツに追い詰められるような悲劇を防ぐ目的がある
だが、この不況下、家族に黙って消費者ローンで生活費をやり繰りしてきた主婦らも多い。そんな人が「ヤミ金融」に手を出すことになっては本末転倒だ。返済猶予や生活支援など、きめ細かな救済策が欠かせない 「借金上限3分の1」の改正法を、国家財政に当てはめたらどうなるだろう。2010年度の一般会計予算は約92兆円だが、主な収入である「税収」は37兆円にすぎない 不足分は国債という借金で補う。その発行額は44兆円に達し、国債依存度は48%と過去最悪だ。貸金業者から「お貸しできません」と断られるのは確実である。そんな家計は遠からず自己破産か差し押さえに遭う 財政法第4条は、戦前の軍備優先が招いた財政破たんを反省し、公債発行の原則禁止をうたう。それがなぜ、国と地方を合わせて1千兆円にも膨らむ惨状なのか。冗談のような現実が情けない きのう参院選が公示された。NHK「週刊こどもニュース」の初代お父さん役で、分かりやすい解説が人気の池上彰さんは、選挙とは「税金の使い方を決める代表を選ぶことです」と喝破する。投票まで約半月、消費税の増税論議だけに振り回されず、賢い税金の使い方や借金の返し方について、各党の公約をじっくり仕分けするとしよう。 日報抄 新潟日報 2010年6月20日 創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge 2010年 06月 20日
それぞれの事情を抱える兄と妹が夜空の大輪に懸けた思いとは…。小千谷市の片貝花火に題材を得た映画「おにいちゃんのハナビ」の試写会を見た。撮影は小千谷を中心とした長岡市や新潟市などすべて県内で行われた。9月の公開を前に、エキストラを務めた地元の人らを招いての上映だ
片貝の花火はもちろん、青々と光る田んぼ、村々をつなぐ坂道、白銀の世界と、新潟らしい映像がスクリーンいっぱいに広がる。兄役の高良健吾さん、妹役の谷村美月さんのひたむきな演技に引き込まれた 家族愛もテーマの一つだ。父親役はおなじみ大杉漣さん。妻子思いだが、寡黙で、気持ちを素直に伝えられない。ひきこもった息子のほおをはたき、険悪になるが、いつも子どもたちを心配し見守る。ラストの花火の打ち上げシーンでは、あちこちからすすり泣きが聞こえた 仕事に追われる父親の中には、子どもとゆっくり会話するのも難しい人もいる。自身も、単身赴任とはいえ、土日に娘や息子と「学校は楽しい?」と話すぐらい。これじゃあ親せきのおじさんとあまり変わらない 一緒に住んでいても、小学生の娘さんと交換日記する先輩記者がいた。擦れ違いの生活から生まれた苦肉の策である。でも日記のことを話す先輩はうれしそうだった きょうは「父の日」だ。「母の日」と比べると影が薄いが、日ごろの自分の役柄を考えると仕方あるまい。子どもや家族を見守るだけではなく、もう一歩前へ。父の日とは、おとうさんがこの1年を反省する日かもしれない。 日報抄 新潟日報 2010年6月20日 創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge 2010年 06月 15日
「隼(ハヤブサ)の一直線といふ自由」(稲畑広太郎)。ハヤブサは上空で獲物を見つけると急降下し、瞬く間に仕留める。時速300キロを超すから鳥類のスピード王か
13日夜、日本の惑星探査機「はやぶさ」が7年間の宇宙の旅を終え、地球に帰った。大気圏突入は秒速12キロだ。オーストラリアの夜空を“流れ星”が一直線に切り裂き、斜めに走る火の玉は神秘的だった 地球から3億キロの小惑星「イトカワ」に着陸し、砂などの採取に挑んだ。月より遠い惑星への往復は世界初だ。こちらの「はやぶさ」は「一直線といふ自由」とは程遠く、紆余(うよ)曲折(きょくせつ)を経ての完全燃焼だった 通信が途絶し、一時行方不明になった。独自のイオンエンジンも故障した。太陽光の圧力も利用し、3年遅れで帰還した。想定外の事故にも柔軟に対応した日本の技術陣をたたえたい それに引き換え、米ルイジアナ州沖で4月に起きた原油流出事故はどうか。流出量は1989年にアラスカ沖で起きたタンカー事故の2倍近い7千万リットルを超えた。鉄の覆いや泥注入などで噴出を止めようとしたが失敗続き、「いっそ核爆発で食い止めろ」という暴論まで出る始末だ 5年前のハリケーンで大被害を受けたニューオーリンズも近い。ハリケーンなどが重なれば、汚染は大西洋にも広がりそうだ。惑星往復が人間の英知なら、深海のパイプにふたができない技術力もまた現実だ。「はやぶさ」が持ち帰ったカプセルの中に、難題解決の魔法のタネなどあろうはずはない。もっと謙虚に自然と向き合いたい。 日報抄 新潟日報 2010年6月15日 創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge < 前のページ次のページ >
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