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「世界貿易機関(WTO)の閣僚会合が決裂した・・・」 卓上四季 八葉蓮華
2008年 08月 01日
「世界貿易機関(WTO)の閣僚会合が決裂した・・・」 卓上四季 八葉蓮華
店先の米は、袋に入っている。そこから水や土や風を感じる機会は少ない。江戸期の俳人・与謝蕪村(よさぶそん)は詠んだ。〈新米にまだ草の実の匂(にお)ひ哉(かな)〉。当たり前のことだが、米は田んぼで、野菜は畑やハウスで育つ▼中国産ギョーザの中毒事件で、国産の安全性があらためて注目された。食べ物がどこでどう作られるかは、今や消費者の重大な関心事だ▼世界貿易機関(WTO)の閣僚会合が決裂した。合意の内容によっては、日本の農業が打撃を受けたところだ。ひとまずほっとした関係者は多いのだろう。それにしても、ずるずると妥協を余儀なくされた政府の対応はいかにも心細く映る▼米や乳製品、ジャガイモ、小麦、ビート。北海道を走ればどこでも見かける農産品だ。影響はこうしたものに及び、道内の農家の被害は数千億円になる、との懸念があった。運送や商業など地域全体に広がることも心配された▼世界的な食料危機で、本来の食料輸出国が、逆に輸出規制を進めている。洞爺湖サミットでも論議になった。日本の食料自給率は四割に満たない。他国の産品で国民の胃袋を満たしていては、急に蛇口を閉められたときあわてることになる▼田も畑も、いったん荒れたら、すぐには戻らない。草の香りを立て、静かに輝いているのがよい。農政も大事だが、農業者も努力を続けてほしい。安全で良質、という競争力はあるのだから。 卓上四季(8月1日) 北海道新聞 八葉蓮華、Hachiyorenge
by hachiyorenge
| 2008-08-01 01:01
| 卓上四季
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